3月29日 国家賠償⑨ 公務員個人の責任――求償関係を整理する

3月29日 国家賠償⑨ 公務員個人の責任――求償関係を整理する




3月29日 国家賠償⑨ 公務員個人の責任――求償関係を整理する


国家賠償の裁判で国が負け、被害者に賠償金を支払った後、一つ気になることがあります。それは「ミスをした公務員本人は責任を取らなくていいの?」という点です。実はここには、非常に考え抜かれたルールがあります。




1. 被害者は公務員個人を訴えられない?

最高裁判所の判例では、国家賠償法1条が成立する場合、被害者は国や自治体に対してのみ請求でき、公務員個人に対して直接「金を払え」と訴えることはできないとされています。
「えっ、ずるい!」と思うかもしれませんが、これには理由があります。もし公務員が「失敗したら一生背負いきれない借金を負うかも…」と怯えてしまったら、思い切った行政活動ができなくなってしまうからです(公務員の萎縮防止)。




2. 「求償(きゅうしょう)」という後日談

ただし、どんなミスでも本人が無傷なわけではありません。国が被害者に代金を払った後、国から公務員個人に対して「お前のせいで払ったんだから返せ!」と請求できる仕組みを求償権と言います。



  • 重過失・故意がある場合: 「わざと」や「あまりにひどい不注意」があったときは、国は公務員に返金を求めることができます。

  • 軽微な過失の場合: 単なるうっかりミスの場合は、国は求償できません。




救済と責任の絶妙なバランス

この仕組みのおかげで、国民は確実に「国」から賠償を受け取ることができ(被害者保護)、公務員は過度な不安を感じずに仕事に専念でき(公務の円滑)、かつ、本当にひどい公務員には後でペナルティを与えることができるのです。


📌 今日のまとめ



  • 直接請求は不可: 被害者は公務員個人を直接訴えることは原則できない。

  • 求償権: 故意や重過失がある場合に限り、国が公務員に返金を求める。

  • 「被害者の確実な救済」と「公務員の萎縮防止」を両立させる知恵!