3月26日 国家賠償⑥ 故意・過失――注意義務の基準を理解する

3月26日 国家賠償⑥ 故意・過失――注意義務の基準を理解する




3月26日 国家賠償⑥ 故意・過失――注意義務の基準を理解する


昨日は「違法性」について学びました。国が責任を負うためには、もう一つ主観的なハードルがあります。それが公務員の「故意(こい)」または「過失(かしつ)」です。公務員がどれだけ「うっかり」していたかが問われます。




1. 「過失」とは注意義務のおこたりのこと

国家賠償法での「過失」とは、簡単に言うと「その立場の公務員として当然払うべき注意を払わなかったこと」を指します。具体的には、以下の2点がポイントになります。



  • 結果予見義務: 「これをしたら、誰かが被害に遭うかも」と気づくべきだった。

  • 結果回避義務: 被害が出ないように、対策を立てるべきだった。




2. プロとしての「注意レベル」が求められる

過失があるかどうかのハードル(注意義務の程度)は、行政活動の性質によって変わります。

高度な専門職(医師・建築確認など):

その道のプロとして、最新の知識に基づいた高い注意力が求められます。

緊迫した現場(警察・消防など):

一瞬の判断が求められる現場では、後から冷静に考えるのとは違う、現場の状況に即した基準で判断されます。




「違法性」と「過失」の微妙な関係

「違法なら過失もあるでしょ?」と思われがちですが、理屈の上では別物です。たとえば、法律の解釈が非常に難しく、最高裁でも意見が分かれるようなケースで、役所が誠実に判断した結果がたまたま違法になったとしても、そこに「過失(不注意)」まではないと判断されることもあります。
つまり、「一生懸命やって、やむを得ず間違えた」のであれば、国は賠償責任を免れる可能性があるのです。


📌 今日のまとめ



  • 過失: プロの公務員として期待される注意力を欠いたこと。

  • 具体的状況(専門性や緊迫度)によって、注意義務のレベルは変わる。

  • 「誠実にベストを尽くした」なら、過失なしとされることもある!