今日は行政法における極めて重要な指針である、信頼保護の原則の全体像を整理しました。
行政は国民に対して強力な権限を持ちますが、その権限をいつでも自由に行使していいわけではありません。国民が「行政

今日は、信頼保護の原則と密接に関わる難所、「違法性の承継」について整理しました。
行政の手続きは、複数のステップがリレーのように連なって一つの目的(例:土地収用や税の徴収)を達成します。先行する手続きにキズ(瑕疵)があった場合、それを後続の手続きの段階で蒸し返して争えるのか。ここには「制度の安定」と「個人救済」の鋭い対立があります。
原則として、行政行為には「出訴期間」があるため、前の手続きに不満があるならその時に訴えるべきであり、期間を過ぎれば後の段階では争えません。これが「違法性の承継は原則否定」というルールです。もし何でも後からひっくり返せるとしたら、行政運営の安定(信頼)が損なわれてしまうからです。
しかし、例外的に承継が認められるケースがあります。それは、先行行為と後続行為が一体となって一つの目的を達成する場合です。国民が「前の手続きは適法だ」と信じて見過ごした結果、後の段階で取り返しのつかない不利益を被るなら、その信頼を見捨てるわけにはいきません。
結局のところ、違法性を承継させるかどうかは、昨日学んだ「比較衡量」の延長線上にあります。昨日整理した「公益とのバランス」が、手続きという時間の流れの中でどう作用するか。信頼保護の精神は、こうした「手続きの不備」をどこまで許容するかの最終的な判定基準になっているのだと感じました。