1月1日 「家族」はどこまで法が守るのか

1月1日 「家族」はどこまで法が守るのか

⚖️婚約・内縁から「夫婦別姓」まで――家族のカタチと法の距離を考える


10月20日の勉強記録です。


今日は、大学の講義資料をもとに「婚約」「内縁」、そして婚姻の一般的効果である「氏(名字)」や「貞操義務」について深く掘り下げました。私たちが普段「当たり前」だと思っている家族のあり方が、法制度や歴史の中でどう位置づけられているのか、非常に考えさせられる内容でした。


特に、行政書士試験でも頻出の「内縁の保護」や「不貞慰謝料」の判例理論は、実務にも直結する重要な知識です。しっかり整理していきます。




1.「将来の約束」を守る法:婚約と内縁


まずは、婚姻届を出す前の段階や、出さない選択をした場合の救済についてです。


■ 婚約(婚姻の予約)

意外なことに、日本の民法には「婚約」に関する条文が一つもありません。しかし、判例では「将来婚姻しようという真摯な合意」があれば法的な婚約とみなされ、正当な理由のない破棄には損害賠償責任(債務不履行または不法行為)が生じるとされています。


■ 内縁(事実婚)と「準婚」理論

届出はしていないけれど、夫婦の実態がある「内縁」。判例はこれを「婚姻に準ずる関係(準婚)」と捉え、婚姻に準じた法的保護を与えています。同居・協力・扶助の義務はもちろん、不当に解消された場合には慰謝料請求も認められます。




最近では、同性カップルの間でも「婚姻に準ずる関係」として不当解消に対する慰謝料を認める高裁判決(2020年)が出ており、法の解釈が時代の変化に寄り添い始めているのを感じます。




2.「夫婦の氏」をめぐる葛藤と歴史


今日の講義で最も熱かったテーマは、民法750条(夫婦同氏の原則)です。


日本では、結婚の際に夫または妻のどちらかの氏を選ばなければなりません。しかし、現実には約96%の夫婦が「夫の氏」を選択しています。これに対し、「人格権の侵害ではないか」として、選択的夫婦別氏(別姓)制度の導入を求める声が高まっています。



  • 最高裁の判断(2015年・2021年):いずれも「合憲」。家族を一つの呼称で定める合理性はあるとしつつ、「制度のあり方は国会で論じられるべき」とボールを立法府に投げた形です。

  • 岡部裁判官の反対意見(2015年):96%が夫の氏を選ぶ背景には「現実の不平等と力関係」が作用している、という指摘は非常に重いものでした。




明治初期には一時的に「夫婦別氏」だった時期があるなど、歴史を紐解くと「伝統」の捉え方も変わってきます。行政書士として戸籍を扱う際にも、この「氏」に込められた個人の尊厳という視点は忘れてはいけないと感じました。




3.「貞操義務」と不貞の相手方への責任


最後に、婚姻の一般的効果としての貞操義務と、不倫(不貞行為)が起きた際の責任追及について整理しました。


ここでの試験対策上のポイントは、「不貞の相手方(第三者)」に対して、いつ、どこまで慰謝料を請求できるのかという判例のロジックです。



  • 原則:不貞行為は共同不法行為となり、相手方にも慰謝料請求ができる。

  • 例外(重要!):不貞行為が始まる前から、すでに「婚姻関係が破綻していた」場合には、保護すべき利益がないため、相手方への慰謝料請求は認められない(最判平8.3.26)。




「自由な意思に基づく不貞に、なぜ第三者が責任を負うのか」という学説上の議論もありますが、実務・判例では依然として「婚姻共同生活の平和」という利益を重視していることがよく分かります。




💡 今日の学びのまとめ


家族法の勉強は、単なる暗記ではなく、私たちの社会が「何を大切に守ろうとしているのか」を問う作業の連続です。



  • 婚約・内縁は「実態」があるからこそ法が救済の手を差し伸べる。

  • 氏の問題は、個人の人格権と家族のアイデンティティが交差する。

  • 貞操義務は、法的に「平和な共同生活」を維持するための盾である。


大学の講義でじっくり議論を追うことで、行政書士試験の択一問題の裏側にある「法の精神」が見えてきた気がします。次は、今日残した「婚姻の財産的効果(婚姻費用の分担など)」を整理していきたいと思います!