今日は行政法における極めて重要な指針である、信頼保護の原則の全体像を整理しました。
行政は国民に対して強力な権限を持ちますが、その権限をいつでも自由に行使していいわけではありません。国民が「行政

信頼保護の原則をテーマにした学習の最終日は、その総仕上げとして行政法の本質的な価値観を考察しました。
この期間を通じて学んだのは、単なる個別のテクニックではなく、行政法という学問が社会の中で果たしている「調整役」としての深い思想でした。
信頼保護の原則には、行政手続法などに明確な条文があるわけではありません。それにもかかわらず判例・学説で確立されているのは、これが「法の正義」や「信義則」に根ざした、近代国家における行政の最低限のルールだからです。条文がないからこそ、解釈における柔軟なバランス感覚が問われます。
行政法を学び始めた頃は「お上が公益のために強い権限を振るう法」というイメージがありましたが、その認識が変わりました。行政法は、決して公益を盲信して個人を切り捨てる法ではありません。
「社会全体の利益(公益)」と「一人の人間が抱いた信頼(私益)」。この両者が衝突したときに、一歩も引けない正義同士をどうやって天秤にかけ、納得感のある着地点を見出すか。行政法とは、その過酷な「調整の法」なのだということが見えてきました。
初日の定義から始まり、要件、違法行為、撤回、判例の比較衡量、そして違法性の承継……。どの論点にも、国民を「後出しジャンケン」から守ろうとする信頼保護の哲学が流れていました。この「公益と私益の調整」という視点は、今後の行政法学習すべてにおいて重要な羅針盤になると確信しています。