1月12日 不法行為法⑥ 共同不法行為(719条)と責任の広がり

1月12日 不法行為法⑥ 共同不法行為(719条)と責任の広がり

不法行為法シリーズの5日目。今日は、加害者が一人ではなく、複数人が絡んでくる「共同不法行為(民法719条)」について学習しました。


現実のトラブルでは、一対一の関係よりも、複数の人が関わって損害が発生することの方が多いですよね。そんな時、法律がどのように「責任の持たせ方」を決めているのか、そのロジックを整理しました。


最大のポイントは「被害者の保護」にあり


共同不法行為のルールを一言で表すなら、徹底した「被害者保護」です。複数の加害者がいた場合、彼らは原則として連帯して損害を賠償する責任を負います(不真正連帯債務)。




「自分は3割しか悪くないから、3割分しか払わない」という言い訳は、被害者に対しては通用しません。被害者は、加害者のうち誰に対しても、全額の賠償を請求できます。これにより、被害者が確実に損害を回収しやすくなるという仕組みです。加害者間の負担割合(求償)は、後で加害者同士で話し合えばいい、というドライな割り切りが面白いですよね。


教唆・幇助、そして「誰がやったか分からない」場合


719条は、直接手を下した人だけでなく、その周辺にいた人たちも広く網にかけます。



  • 教唆者・幇助者(719条2項):そそのかした人(教唆)や、手助けした人(幇助)も、実行した本人と同じように連帯責任を負います。

  • 加害者不明型(719条1項後段):数人が別々に不法行為をして、その誰かの行為によって損害が生じたけれど、「誰のせいでその結果になったのか」が特定できない場合です。この場合も、全員が連帯して責任を負うことになります。




1月8日に学んだ「因果関係」の回収パート


今日の学習は、先日(1月8日)に整理した「因果関係」の知識を回収するパートでもありました。本来、因果関係は「Aの行為がなければBの損害は起きなかった」ことを証明しなければなりませんが、共同不法行為では、その証明が難しい場面でも、被害者保護のために因果関係の立証責任を緩和している側面があります。


「複数の原因が絡み合って一つの損害が起きた場合、どうやって責任を拾い上げるか」という、因果関係の応用問題がここですべて繋がった感覚があり、非常にスッキリしました。


今日のまとめ



  • 共同不法行為は連帯責任(不真正連帯債務)が基本。目的は被害者保護

  • 教唆(そそのかし)や幇助(手助け)も同様の責任を負う。

  • 「誰がやったか特定できない」場合でも、関わった全員に責任を負わせる強力なルール。

  • 複雑な事例こそ、「因果関係」の二段階思考をベースに整理する。


複数人が登場する事例問題は、図を書いて関係性を整理しないとすぐに混乱してしまいますが、根底にある「被害者を守る」という視点を忘れずに取り組んでいきたいです。


明日は、不法行為の中でも特に「他人を雇っている立場」の責任を問う、使用者責任(715条)に踏み込んでいこうと思います!


今日もお疲れさまでした!